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llustration & novel
✧ 森の中の小さな明かり ✧

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✧ 森の中の小さな明かり ✧

約束の待ち合わせの場所で、僕らはひそひそと話す。これからのことは全てが秘密だったから。白くて長く続く壁の曲がり角のところが待ち合わせ場所だった。壁の向こう側には、てっぺんが見えないくらいの大きな木が何本も茂っていた。

「パパにもママにも内緒できたよ」と僕は言った。

「うんそれでいいよ」と彼は言った。

「どこに行くの?」

「いいからついてきて」

しばらく歩くと彼は背中のリュックを下ろし、大きな懐中電灯を出して明かりをつけた。真っ暗だった森に続く道に、光の筋ができた。

「怖いの?」と彼は言った。

「少しね」と僕は言った。

「大丈夫、ただの森だから」

「でも何かが飛び出してきそうで怖いよ」

「その時は僕に掴まって。絶対に君を守るから」

僕はただ頷いた。けれど辺りは真っ暗だったから、それが彼に見えたのかどうかはわからない。僕はここへ来たことを、少しだけ後悔をしていた。

「ここからは手をつないでいこう」

彼はそう言って手のひらを上にして僕に差し出した。つないだ彼の手はとても力強くて、少しひんやりとしていた。その温度は、僕の後悔を見透かしているかのように思えた。

彼が懐中電灯を道の奥の方に照らすと、光は暗い闇の中に吸い込まれた。「さあ行こう」と言って彼は歩き出して、手を引かれながら僕も後に続いた。こぼれた光の中で見た彼の表情は、迷いなんて何もないように思えた。歩き出すと体の芯が暖まるような感覚が起こり、気がつくと僕の胸の中の怖さは全て消えてなくなっていた。

「いい、この先の分かれ道を右に行くからね」

「そこには何があるの?」

「君に見せたいものがあるんだ」

しばらく進むと、遠くに小さな明かりが見え始めた。

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