いまここにあること 

趣味のカッティングステッカー

今年の夏は梅雨かと思うくらいの長雨で、皆様夏らしく過ごせない方も多かったのではないでしょうか。

わたくしの近況といたしましては、長年このイラストの仕事をさせて頂いてきたなかで、日頃より抱えていた絵に対するコンプレックスや取り組みに対する自分自身の姿勢などて考えることも多く、しかしそれを努力やがんばりで払拭しながら進んで来ました。

このイラストの仕事に対し限界を痛切に感じ、自信をなくし、仕事への集中力も切らしてしまい、クライアントの方々にもご迷惑をかけることも度々起こってしまいました。

「これはもう続けるわけにはいかないな……」

これ以上イラストと向き合えない自分の気持ちを考え、この仕事から離れると決めたのでした。
元々絵に対して自信があったわけでもなく、上手く描けないコンプレックスも邪魔をして、依頼された内容をただただ描くだけで精一杯。
さらに大事な長女が産まれたことにより、家庭内の事情は大きく激変しても肝心の保育園は待てども待てでも採用の通知は来なく、夫婦でフリーランスをしている我家は仕事をほぼ諦める状態に。

夫婦お互い交互に育児をしてみた所で子供はそんな親の都合などわかるわけもなく、とぎれとぎれの時間での仕事が続くのでした。
仮にも何かを生み出す事が仕事の我々にはこのとぎれとぎれの時間はとてもきつい状況となり、徐々に仕事をする事を諦めていくことに。
けれど締め切りは当然否応無くやってくるし、けれどどうしても創作をする意欲もなくなり完成度の低い納品も続き、しまいには引き受けた仕事をやっぱりできません。という事態も起き、これはもうプロとして失格だと落ち込んで行く日々を痛感していくのでした。

そんな想いを抱えきれず、ある日わたしは「ぱたん」と倒れたのでした。
気持ちがね。

そしてこのブログ記事にもにあるように辞める宣言をしたのは2017年になってすぐのこと。
イラストの世界は本当に好きだったので、どうしてこうなってしまったかとても残念に思いましたが、これ以上続ける事はできなかった。
絵のことはしばらくお休みして趣味で文章でも書こうと思いこうしたブログを開設したのでした。
「無意識ワンダーランド」
http://m-wonderland.com/
無意識の中に自分の心の全てはある。そんな思いで徒然な想いを書きたいという思いです。

拝啓、イラストレーター辞めました。第一話

拝啓、イラストレーター辞めました。第二話

拝啓、イラストレーター辞めました。最終話

しかし辞めるといっても当時もうすでに仕事の依頼もなくなっており、ほぼ自然消滅でした。今までがんばってがんばって、仕事を頂きたいとなりふり構わず活動して来ましたが、こうしてプツンと活動の糸が切れるともう依頼は一件もこない現実が待っていて、ああやっぱり自分はフル回転していないと仕事なんてこないんだという悲しさもありました。

まわりのうまくいっているイラストレーターの友人達は仕事をすればその仕事がまた仕事を産み、こっちで取り上げられ、あっちでもてはやされ、どんどん差が広がるのを見ているしかありません。
例えるなら自転車にのってライトを付けます。うまくいく人は漕がなくてもライトが付きます。漕ぐとさらに強く光ります。
わたしの場合はライトが光りません。しかし漕いで漕いで倒れるほどくしばって漕ぐとライトは付きます。けれど少しでも漕ぐのを止めると途端にライトの光は消えて行きます。
こんなジレンマを感じていました。
辞めると言ったあとはそれはそれで絵を描かなくていいという開放感も大きく感じました。それまでは街に目をやるとどれもがモチーフに見えてしまい、あれを描かなきゃ、これを描かなきゃ、しかし描けるわけも無い。と勝手に落ち込み自滅。という道順でした。
辞めると決めてから1年までは経ちませんが、その間自分の内面を沢山観察して来ました。
そしてやはり何より仕事という面ではイラスト以外考えられませんでした。

そしてやっと娘も保育園の入園が決まり、我家はまた仕事をする機運が高まって来ました。
自分の気持ちに取り組んだ長い時間、絵に対する考えもずいぶん変わりました。
自信なんか無くても良い、上手く描けなくてもいい、あのイラストレーターが羨ましい、お金が欲しい、そんな考えにすべて許すことに決めました。

全部自分に許可して許してあげようとそう思えたら、嫌いで辞めたわけではないこの仕事への意欲がまた高まり、やはりこの仕事をやりたい、そう思い再開を決意したこの夏先の出来事でした。
仕事を休んでいる間は得意の料理の腕をふるい、お肉を使わないインドカレーをコンセプトに野菜や乳製品でのインドカレーのイベントを開催していました。
沢山のお客様が食べに来て頂けたりと、とても満足のいく日々でした。
しかし回数をこなすうちに、やはり自分は家でひとりコツコツ作業をしたいそんなことも確認でました。

そして今年の冬は初めての小説にも挑戦し、諸事情で入院した際の暇な時間を利用し執筆に明け暮れました。
そして最高峰から挑戦するのがモットーのわたしは無謀にも第30回小説すばる新人賞に応募をし、奇跡的に現在一次選考を通過いたしました。
これにはさすがに腰を抜かすほど、自分自身びっくりしましたが、人生でも数少ない手放しに喜べる出来事でした。

これからはまたイラストレーターとして再起出発したいと思っております。
といいつつ、こうしたお取り引きクライアント各方面には何も伝える事も無く自然消滅した経緯ですので、あらためてご報告もおかしな話しだとは思いますが(FBでは自分の辞める宣言の記事を投稿したり個人的な繋がりの方々には伝えました)わたくしの個人的な趣旨指向によりお伝えさせて頂きたいと思いました。

長い間仕事もしてこなかったので、新規採用のご案内もできませんが、オリジナルとしてこのような俯瞰の街の様子を描いたイラストをこつこつと描いていました。

エベレスト登山をするためには必ずこの街道を通ってキャラバンをしなければならない

わたくし自身がヒマラヤ登山に対して頭の中だけの大きな憧れがあります。
こたつの中から送るクライマー達へのわたしの想いはそれはとても大きなものです。
自分自身が登山をする。というより、ただただ登る人たちを本や写真や文章などで追う事がとてもわたしは大好きな趣味で大好きなこと。ここでイラストという方法で一つの形にできたことは喜ばしいことだと思っています。

そして不思議なことに、自分がこうしてまたイラストをやろう。と決めた途端各方面より少しずつですが打診を頂いております。
あんなに凪だったわたしのイラストの需要でしたが「自分の気持ちを固める」という意思は不思議なことを引き寄せるんだなと思っています。

自分を許す。それを学んだ育児や仕事へのここまでの流れ。大きな収穫となりました。
大事なことは過去でもなければ未来でもない、いまここにこうしていて、今この瞬間を生きる。
ということが人生には何より大事なことなのだと。

これからもくじけたり自信なんて何回でもなくすとは思いますが、それでも立ち止まることなくこつこつと進めると思えたらとても穏やかな気持ちでイラストに取り組めそうなそんな夏の終わりのお知らせとさせて頂きました。

また是非沢山のご依頼お待ちしております。

再開によりホームページも少し整理したり、趣味で描いた絵なども載せています。
よろしかったら覗いて頂けたら嬉しく思います。

それでは。

宍戸

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